坂 村 真 民 の 世 界

よ う こ そ タ ン ポ ポ 堂 ヘ

 

                           (瀬戸内海に沈む夕陽・2000年6月撮影)

                                                                                         ようこそ、タンポポ堂へ、真民さんの詩の魅力と真民さんに関する情報をあなたに届けます

                                  

 



坂村真民さんの略歴

明治42年1月6日  熊本県に生まれる。8歳の時に、父親の急逝によりどん底の

生活に落ちる。5人兄弟の長男として母親を助け、幾多の困難と立ち向かう。

昭和6年 神宮皇学館(現皇學館大學)を卒業。25歳の時、朝鮮にて教職につき、

36歳全州師範学校勤務中に終戦を迎える。昭和21年から愛媛県で高校の国語

教師を勤め、65歳で退職、以後詩作に専念する。始めは短歌を志し、昭和12年

『与謝野寛評伝』を著している。四国に移住後,一遍上人の信仰に随順して仏教精

神を基調とした詩の創作に転じる。昭和37年、月刊詩誌「詩国」を創刊、以後毎

月、一回も休むことなく発刊し1200部を無償で配布している。また詩の愛好者によ

って建てられる真民詩碑は日本全国43都道府県に分布し、その数は現在,海外の

20基と合わせると450基を超える。

主な著書は、4.「坂村真民全著作一覧」に載せてます。

                                                  

                                                    (朴庵例会が開かれる、開花亭前の真民さん(12.9.3撮影)


1.詩 国 9 月 号

 第 三 九 巻 9 月 号 


命なりけり

初めて
鳩寿の杖をつき
旅に出る
行くところは
大江山の鬼が
住んでいた
山に連なる
三岳山金光寺
そこに建つ
第五五六番碑の
除幕入魂式のため
雨止み
遠く見はるかす
丹後の山々
命なりけり
ああ身にしみる
深山の霊気よ
一杓の霊水よ

 祈りに祈る

御本尊不動明王(みょうおう)
閉山役の行者(えんのざょうじや)
もうそれだけで
わたしの仏心と詩心とが
異常に動く
両脚の痛みは激しくなるばかり
祈りに祈り
初めて鳩寿の杖をつき
旅に出る
ぎゃてい
ぎゃてい
はらぎやてい
はらそうぎやてい
役の行者小角(おづぬ)
さま
ああ遥々とやってさました
あなたも飛ぶひと
山山を飛び
救世(くせ) の悲願に
今もなお飛んでおられ
わたしをお呼び下され
感謝でいっぱいです
またとり年生まれの守り本尊
不動明王さま
動かぬ足を動かして
やってまいりました
サタンに負けてはならないと
思ったからです
ああ
祈りに祈る
この思いを
御本尊不動明王さまと
開山役の行者さまとに
お告げ致し
山上の第五五六番碑の
永久 (とわ) の栄えを
祈ります

 赤い実

朴の実は
なぜ赤い

鳥たちが言う
あの赤い実を見ると
わたくしたちは
たまらなく
口にするのです

そして幸いあれと
祈りながら
一番いい処に
落とすのです

ルビーのような
朴の実を
鳥たちと同じような心で
愛し育ててゆきましょう

 今日からは

今日からは
百歳まで生き
飛天になるための
一歩一歩であり
一瞬一瞬であり
一呼吸一呼吸である
あせらず
しっかりと
生きるのだ

人体の五体加持文(もん)

左の足は
愛染明王さま
右の足は
孔雀明王さま
守らせ給え
守らせ給え

一体不二

インドに行かなくてもいい
イスラエルに行かなくてもいい
仏陀も
基督も
タンポポ堂に
来てくだっさている

祈り

祈りは
最高の実践
天に祈ろう
地に祈ろう
         
 人間以外

人間以外
みな本気で生きているのだ
小さなみそさざいでも
懸命に生きているのだ
野鳥『春夏秋冬』という
本を頂いたが
懸命に生きているのが
よくわかり
わたしの心を打った
万物の霊長などという造語は
もう辞書から
消した方がいい

 不屈の魂

体の中の
不屈の魂を
消してはならぬ
そう言い聞かせ
鳩寿の杖を持ち
旅に出る

 これからの生き万

これからの生き方とは
神仏の喜ばれる
生き方である
神禄仏縁を頂き
生かされ
生きてきた
九十年の
御恩返しをする
生き方である
しっかりしろ
しんみん

 一本の道を

弱音を吐いたら
サタンが喜ぶ
サタンに喜ばれたら
もうおしまいだ
行け
行け
一本の道を
まっしぐらに
行け

 古刹の涼風
     三岳山金光寺

山には
山の神があり
役の行者を開祖とするお寺に
碑が建ったので
除幕入魂式に列し
とり年生まれの守り本尊である
不動明王にお会いし
霊水を飲み
身心を清めた
雨もやみ
良い天気となり
鶯が
式の始めから
終わりまで鳴き
祝福してくれ
真夏というのに
涼風吹き
まことに良い
古刹(こさつ) であった
   ※ 古刹‥古い寺。古く由緒ある寺。

 美しい絵

クリントンさんの
平和の礎(いしじ) での
演説はよかった
そのあと
握手して回られたが
何百人と握手されただろうか
炎天下顔から汗が流れていた
一人の女のひとが
クリントンさんの顔の汗を
さっと拭かれた
そのテレビが
実によかった
あれはサミット会議の
どの場面より感動した
おきなわのおとめの良さが
明るく遺憾なく出ていて
わたしには消えない
一幅の美しい絵だった
糸満にはわたしの若い日の
思い出の歌がある
ああ糸満に行ってみたい
   ※ 糸満(いとまん)を題材にした
    歌謡「妻問い舟」があり、作曲
     された。
     後    記
       1 第五五六番碑	
 今月号に出てくる第五五六番碑は、多くの碑の中で特別ありがたい碑であった。発願者である雲川正一様、照子夫人、息女の真智子 
さん、この三人のお方の熱意と信仰とによって、建立されたのであった。 雲川さん御一家は、大阪府交野市にお住まいであり、碑の
 建つ金光寺は、京都府福知山市であり、頂いた細かな地図を見ると、これは大変な処だと思った。碑を建てることは、細かな心配りが
 必要であり、ただの石が霊石となるのだから、建立される方の心の探さを、いくつも見てきた私には、特別この五百五十六番碑はあり
 がたかった。だからどうしても、立てない足を立てるようにしなければならぬ。そう祈り、照子夫人から鳩寿になつた記念として頂い
 ていた杖をついて、出発しようと、誓ったのであった。 金光寺の御本尊は、不動明王さま、そして閉山は、役の行者さま、とり年生
 まれの私には、まことに御縁の深いお寺である。 巻頭の詩「命なりけり」は、実感である。お互い命を大事にして、二度とない人生を、
 悔いのないように送り度い。    
        2 大字宙大和楽

 地球だけのことを考えていると、なんだか息苦しくなるようなことばかりである。 あんな大きな国のロシアが、日本から奪い取った小
さい島を、返えそうとしない。 世界地図を見ていると、いろいろの国が、国境線を持ち、互いに敵視している。これでは永久に平和など
到来しそうもない。 釈尊の慈悲も、イエス・キリストの愛も、いつになったら成就できるであろうか。私は釈尊を知ってから、釈尊が一
番頼りにし、一番好きな国は、日本であったと思うようになったのであるが、その日本も、戦争に負けて以来、何もかも崩れてしまい、本
当にどうなってゆくであろうかと思うぐらい、変わってしまった。
 
 日本が幸せでありますように
 世界が幸せでありますように
 人類が幸せでありますように
 そういう祈りも空しいように思われて、私は大字宙大和楽の祈りを唱えるようになった。二十一世紀からの祈りは、宇宙が持つ根源的な
慈愛に立ち、生きとし生けるものの幸せを乞い祈る、そういう祈りをすべての人が持つことだと、思うようになった。 私は必ず成ると思う。
そしてそれは日本民族の使命だと思う。 私は九十歳を越えてから、いよいよそんなことを考えるようになつた。そのために生かして下さっ
ているのだと思うようになった。
 大字宙大和楽
 アーウン
 アーウン
 と私は祈る
 夜明けの川原で
     3 こ の 世
 どんなにこの世が苦しかろうと、私はこの世が好きだ。飛天になろうと思うのも、あの世へ行くのをやめて、この世に留まり、一緒に泣き、
一緒に慰め合い、共に生きてゆきたいからである。極楽浄土はいいかも知れない。天国も楽しいかも知れない。それはそれでいい。どうかそ
れでいい人は行きなさるがいい。でも私は小さい時から苦労してきたので、苦の重荷を背負うて生きる人たちを、軽くしてやりたいのである。
よい音楽を聴かせたりして、慰めてやりたいのである。いろいろの飛天さんがいられるであろうが、私は私なりの飛天となり、裟婆世界を遊
飛したいのである。
 善があれば、悪がある。光があれば、間がある。だからこの世がある限り、あの世もあるのだ。そしてあの世行きをやめて、この世に留ま
ろうというのが、私の飛天志願なのである。この志願を決めてくださったのが、第五百五十番碑の建つ、近くの円通寺の御本尊観世音菩薩さ
まであった。因にタンポポ堂に最初に来て下さったのも、祭良法隆寺の救世(くせ)観音さまであった。
 私はこの世が好きなのである。	
   
  4 前月号から
一位ただそれだけで。二位百歳の人。三位重信川の川祭り。四位百歳の人(一)(二)(三)。五位さくらんぼでした。
今月号もよろしく願います。

 

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